闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「あれ? 薬が……ない?」


 さぁ、と血の気が引いてもう一度パタパタと確認してみる。

 ポケットに手を突っ込んだり中をひっくり返してもない。


「ウソ……」


 呆然としてそれ以上言葉が出てこない。

 大事な薬。たった一つしかない、私だけの薬だと聞いていた。

 絶対に無くしてはいけないものなのに……。


「っ!」


 諦めちゃダメだ。考えなきゃ。

 まずは着替えた拍子に落ちていないかと辺りを見回す。

 でも無くて、どんどん気は焦る。

 別の部屋にあるかもしれないと、私は櫂人がいるリビングに向かった。
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