闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「恋華? どうした? 顔色が悪いぞ?」


 私の様子にすぐ気付いた櫂人は心配そうにそばに来てくれる。


「櫂人……どうしよう、薬がなくて……」

「薬って……万が一のときに飲むっていう薬か?」

「うん。いつも持ち歩くようにしてて……制服のスカートのポケットに入れておいたはずなんだけれど……」

「分かった、俺も探す。どんな薬なんだ?」


 深刻さを察してか、櫂人はすぐに手伝いを申し出てくれた。


「ありがとう。小指の先くらいの大きさで、赤い宝石みたいな薬なの。バラの形をしていて、いつもは小さな小瓶に入れて持ち歩いてるんだけど……」

「バラの形? 珍しいな……まあ分かった。まずは家の中を探してみよう」


 そうして二人で手分けして探す。
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