闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 話の流れからいって《朱闇会》の人たちに薬を探すのを手伝って貰おうとしているのは何となく分かった。

 でも、櫂人の彼女として紹介されるなんて。


「嫌か?」

「え……嫌っていうか……恥ずかしいというか、照れるというか……」


 少し赤くなりつつ答えると、優し気に目を細めた櫂人が私の額にチュッとキスをする。


「え? な、何? 突然」

「いや、可愛くてしたくなった」

「っ⁉」


 いや、こんな真昼間から何するの⁉

 甘すぎるんだけど⁉

 一昨日最初に会ったときは怖そうとも思ったし、クールな印象だったのに。

 昨晩から櫂人の糖度は増す一方で止めどない。

 嬉しいけれど、甘さに溺れてしまいそうだと思った。
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