闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 でも湊さんには「気にすんなって」と軽く言われた。


「総長の女はチームにとっても守るべき女なんだから」

「そうなんですか?」

「そうそう。それに生死に関わるってくらい大事な薬なんだろ? 利用できるものは利用しなきゃダメだって」

「そう、ですね。ありがとうございます」


 お礼を言うと、ムスッとした櫂人が湊さんを押しのける。


「湊、近い。いいからお前もさっさと行け」

「へいへい。ったく、ベタ惚れだな」


 からかいと呆れの言葉を残し、湊さんも去って行った。

 その後私と櫂人は当初の予定通り私の着替えを取りに行き、一端櫂人の家に戻る。

 《朱闇会》の人たちから何度か経過報告を受けながら過ごしているうちに、すっかり日は落ちていた。
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