闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
***

「見つからなかったか……」

「うん……」


 流石に暗くなってからの探し物は難しい。

 今日は誰かが拾ってないかもう少し聞き込みをしたら解散してくれと伝え、私たちは櫂人の家に戻る。

 食事もシャワーも終えて、本日最後の報告を聞いた櫂人が申し訳なさそうに眉尻を下げた。


「悪いな、ちょっと長期戦になるかもしれない」

「いいよ。探してもらっているのに文句は言えないし」


 ベッドに腰掛けていた私は気にしないで欲しいと櫂人を見上げる。

 薬が見つからないのは確かに不安だけれど、こればっかりは仕方がない。

 私自身が昨日の現場に行ければ良いけれど、近付いただけで怖くなって足を止めてしまったし。

 それに本当にあの辺りで落としたのかも分からない。

 今みたいに人海戦術で探すしか無いだろう。
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