闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「お前の病気は血に関するものなんだろう? 吸血鬼の血になることで、病気自体も無くなるかもしれない」


 薬を探しながら、心配した櫂人に病気のことを詳しく聞かれた。

 もしかしたらそのときから考えていたのかもしれない。


「それに何より……」


 話しながら、肩を掴む力が強くなってくる。

 その手が少し、震えている様な気がした。


「櫂人……?」


 何を思っているのかと、すぐそばにある彼の顔を見上げる。

 櫂人は前を見ていて私とは視線を合わせない。

 その目には、どこか怯えのようなものが垣間見えた。


「お前を、失いたくない……」

「櫂人……」


 ギュッと、胸が締め付けられる。

 ゆっくりと私を見た彼の目は、いつもの強さはなく揺らいでいる。
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