闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「櫂人? いるの?」


 もう一度声を上げたけれど反応がない。

 いるとすれば、カーテンが閉められたベッドの辺り。

 もしかしたら寝ているのかな? と思いつつ、いるかどうかの確認のために少しだけカーテンを開けて見てみた。


 ……いた。


 シャツの首元のボタンを緩めて、横になっている。

 眠っている様だったから、静かにカーテンの中に入って近くの椅子に座った。


「……綺麗」


 ポツリと言葉が零れ落ちる。

 闇のような黒髪が縁取る白い肌。

 切れ長の目は閉じていると鋭さが和らいでいる様に見える。

 惚れ惚れするような形の良い鼻筋に、主張しすぎない頬骨。

 なめらかな顎のラインに、薄い唇。
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