闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「男は半径一メートル以内に近付くの禁止な? コイツに触れていいの、俺だけだから」

「は、はい!」


 流石に睨みつけることはしなかったけれど、あからさまな牽制。

 黙って見ていたけれど、流石に味方になってくれた人にそれはないんじゃないかなと思って私は声を上げる。


「櫂人? キヨトくんは私の味方になってくれたんだし、そんな言い方は……」

「それとこれとは別。……それより恋華?」


 私の意見は軽くあしらわれてしまい、どうしてかいつもより低い声が私を呼ぶ。


「え?」

「お前さ、クラスのやつにいじめられてるってどうして俺に言わなかったわけ?」


 怖い、というほどではなかったけれど、不機嫌そうな声音に戸惑う。
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