闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 そんな久島先生はたまに大橋さんのことも話してくれる。


「ちょっと思い込みが強いところもあるけれど、時には手段を選ばず仕事をやり遂げるとろとかはカッコイイのよ?」


 なんて、嬉しそうに語っていた。

 久島先生は本当に大橋さんが好きなんだなって分かって……同時に切なくなってしまうけれど。

 本当に、久島先生が大橋さんの“唯一”だったら良かったのに。

 どうしようもないことだと分かってはいても、そう思わずにはいられなかった。



 放課後には櫂人と一緒に帰って、《朱闇会》の人たちと薬の捜索をしている。

 もしもの時は櫂人が私を吸血鬼にしてでも助けてくれるというから、取り乱すほどの不安に襲われることはない。

 でも、やっぱり一つしかない大事なものだから出来れば見つけたかった。
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