闇の総長はあたらよに運命の姫を求める


 ただ、小さな薬一つを見つけるのにこんなに大勢の人に協力してもらうのは心苦しい。

 そう思っていたんだけれど。


「そんな気にすることないって。元々ヴァンピール探しのために見回りはしてたし」


 心苦しいと口にした私に、湊さんが明るく言った。


「明るいうちの見回りに、薬探しが加わっただけだよ。みんなもそこまで苦に思ってないから気にしないで?」

「そう、なんですか?」

「そうそう。むしろヴァンピールはいつ出てくるか分からないし、やる気が無くなってくる奴もいたんだ。目的が増えて助かってるくらいだよ」

「そうですか……」


 湊さんの言葉に納得しつつ、それでも後でちゃんとお礼くらいは言いたいなと思った。
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