闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
三章 愛の形
急転
薬が中々見つからないこと以外は穏やかな日々が続いている。
それが急変したのは、私が海燕高校に編入してきてひと月が経とうとしていた日だった。
そろそろまた治療が必要だから、明日までにクリニックに来るようにと真人さんから連絡が来ていて明日行こうかと思っていた日の放課後。
教室に迎えに来た櫂人が「悪い」と開口一番に謝罪の言葉を口にした。
「茜渚街の例の件で大橋さんに呼び出されたんだ。ちょっと行ってくるから保健室で待っていてくれ」
「大橋さんに? 分かったけど、別に私一人でも帰れるよ?」
過保護な様子にちょっと苦笑すると、いや、と髪を梳くように撫でられる。
「お前を一人で帰すなんて俺が嫌だし。……それに恋華に大事な話があるから呼んで来てくれって久島先生に言われたんだよ」
「そうなの? なんの話だろう?」
髪を撫でられて少しくすぐったく思いながら首を傾げる。
そんな私の額に櫂人はキスを落として「さあな」と答えた。
それが急変したのは、私が海燕高校に編入してきてひと月が経とうとしていた日だった。
そろそろまた治療が必要だから、明日までにクリニックに来るようにと真人さんから連絡が来ていて明日行こうかと思っていた日の放課後。
教室に迎えに来た櫂人が「悪い」と開口一番に謝罪の言葉を口にした。
「茜渚街の例の件で大橋さんに呼び出されたんだ。ちょっと行ってくるから保健室で待っていてくれ」
「大橋さんに? 分かったけど、別に私一人でも帰れるよ?」
過保護な様子にちょっと苦笑すると、いや、と髪を梳くように撫でられる。
「お前を一人で帰すなんて俺が嫌だし。……それに恋華に大事な話があるから呼んで来てくれって久島先生に言われたんだよ」
「そうなの? なんの話だろう?」
髪を撫でられて少しくすぐったく思いながら首を傾げる。
そんな私の額に櫂人はキスを落として「さあな」と答えた。