闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 けれど色んな後悔が沸き上がる。

 もっと早くマンションを出ていれば。

 私にもっと体力があれば。

 バスで通学する選択をしていれば。

 そうすれば櫂人先輩に送ってもらうこともなかっただろうし、こんな風に編入早々クラスメートに遠巻きにされるようなことにはならなかったはずだ。

 でも、後悔先に立たず。

 それを今更嘆いてもどうしようもなかった。


 明日からの学校生活、どう過ごそう……。


 一人寂しく過ごす未来しか見えなくて密かに悲しんでいると、ケンジくんが「それに」と硬い表情で話し出した。


「茜渚街で起きている事件に黒王子が関わってるって話も聞くしさ」

「事件?」

「あ、そっか。片桐さんはこの辺のことまだ知らないのか」


 聞き返すと、今度はキヨトくんが意味深に話し出す。
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