闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「……その“何か”に、櫂人先輩が関わってるってこと?」
「ああ、少なくとも見慣れない連中と一緒にいたっていう目撃証言はあるから」
「茜渚街を仕切っている《朱闇会》の総長だ。無関係ってわけじゃないだろうよ」
二人の様子に、私は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
そんな私の様子を見て怖がらせたと思ったのかも知れない。
二人は神妙な顔を笑顔に変えて雰囲気を明るくしようとしていた。
「ま、まあ。だからって悪いことしてるってことじゃないと思うけどな!」
「そうそう。まあでも、そんなわけだからあの人を怖がっている奴は多いんだ。片桐さんも、あんまり関わらない方がいいと思うぜ?」
「……うん」
そうだね、とうなずく。
櫂人先輩と関わったことで女子には邪険にされ、男子には遠巻きにされることになったんだもの。
関わらない方がいい。
……でも、どうしてかな?
関わらないようにしようと思うと、寂しく感じるのは。