闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 体の熱が落ち着いていき、力が抜けていく。

 動けないことには少し不安に思ったけれど、熱く苦しい状態からは脱することが出来た。


「恋華……? 大丈夫か?」

「……うん。ありがとう、櫂人」


 私の呼吸が落ち着いたのを見て安堵した櫂人は、私の腕の拘束を解いて優しく抱き締めてくれる。

 動けなくて抱き返すことは出来なかったけれど、さっきとは違って幸せを感じることが出来た。

 櫂人の腕の中にいれば、それだけで安心出来たから。


「っこの! なんてことを!」


 でも、この状況を気に入らない人物の叫びが部屋に響いた。

 櫂人の腕に抱かれたまま、唯一動かせる頭をそちらに向ける。

 大橋さんが鬼の形相で私たちを睨み、真理愛さんの拘束を強めていた。


「ぅくっ!」


 痛みに顔を歪める真理愛さんを労わることなく、思惑を邪魔した私たちを憎々しげに睨む。
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