闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「大勢の被害者がいる中、恋華さんたちの近くに居合わせたのは本当に偶然だった。恋華さんは意識もなくて、そのままいつ息を引き取ってもおかしくなかったわ」


 共にいた両親は真理愛さんにうわごとのように娘を助けてくれと何度も言って、こと切れてしまったらしい。

 真理愛さんは吸血鬼。

 生きてさえいれば、血を入れて生き永らえさせることは出来る。

 でも……。


「人を吸血鬼にするのはちゃんと相手の意思確認をしてからでないと許されないわ。それに、吸血鬼にしてしまったらハンター協会に報告は必須。でもそうなると大橋に居場所が知られてしまう危険性が大きかったの」


 そういう理由から初めは助けるつもりはなかったんだそうだ。

 でも、私が握りしめていた貝殻を見つけた。

 真理愛さんが作ったもので、また出会えるようにと私と櫂人に分けて渡してくれた貝合わせの貝殻。
< 316 / 329 >

この作品をシェア

pagetop