闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「あーダメダメ! 気落ちしてなんかいられないでしょ!」


 声を上げて、沈みそうになる気持ちを浮上させる。

 夜一人になるとどうしても落ち込みやすくなってしまう。

 こんなときは、と私は鞄の中に入れておいた巾着袋を取り出す。


 両親を一度に亡くして生きる希望なんて欠片も持てなかった。

 そんな私に真人さんがこれを渡してくれたんだ。

 事故に遭って意識を失っていた間も、ずっと握りしめていたものだって。


 巾着袋を開いて中身を出す。

 手のひらに収まるこれは、大き目のハマグリの貝殻だ。

 内側は金色に塗られ、読めないけれど達筆な字で短歌らしきものが書かれている。

 絵も描かれているけれど、これはちょっと何が描かれているのか分からない。
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