闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 茜渚街は一度も行ったことのない場所。しかも鞄がどこに隠されたのかも分からない。

 日暮れまでまだ時間があるとはいえ、悠長に構えていたらすぐに夜になってしまう。

 私は彼女たちをキッとひと睨みして教室を後にした。



「片桐さん、待って!」


 生徒玄関で急いで靴を履き替えていると、私の鞄を隠しに行ったというクラスメートに声を掛けられる。

 他の子はいないから、彼女の単独行動みたい。


「何? 私急いでいるんだけど」


 私の鞄を隠して来た張本人だ。愛想良く受け答えなんて出来ない。

 でも彼女はそんな私に少しだけ申し訳なさそうな顔をして、何かのメモを差し出してくる。


「これ、隠した場所の大体の位置。いくら何でも土地勘ないところで探し物は無茶だろうから……それに、殺人鬼が潜んでるなんて噂がある場所に向かわせて、何かあったら寝覚めが悪いし」

「……」
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