闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
「……あの、大丈夫ですか?」


 飲み屋の裏だし、飲み過ぎて具合が悪くなっているんだろうかと声を掛けてみた。


「うっ……ううぅ……」


 でも返って来たのは苦しそうなうめき声だけで、言葉はない。

 もしかしたら意識がないのかもしれないと思って少し近付く。

 どちらにしろこの奥も調べてみないといけないし、意識が無いんだったら他に大人の人を呼んでこないとまずいんじゃないだろうか。


「あの……っ⁉」


 数歩足を進めて、違和感にピタリと足を止めた。

 目の前にいるのは一人だと思っていたけれど二人みたい。

 しかも、私に背を向けている人はもう一人に覆いかぶさるようにして少し動いているように見えた。
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