闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
私の問いかけにも応えず何をしているのかと思ったけれど、鼻孔を掠める鉄のような生臭い匂いに嫌な予感がした。
その予感に体を強張らせそのまま動けずにいると、耳にじゅるっと何かをすするような音が聞こえてくる。
な、に……?
私は、何を見ているの?
ドクンドクンと、恐怖を覚えたときのように大きく心臓が鳴る。
その鼓動が直接鼓膜を震わせているんじゃないかと思うくらい大きく聞こえると、明るくなってきた半月の光が丁度射し込まれた。
「っっっ⁉」
声にならない悲鳴が上がる。
目の前に見えたものは、赤。
下になっている人の首の辺りから赤い血が流れ、覆いかぶさっている人がその血をすすっているのが見えた。
「ぁ……っ!」
見たくないのに、目がそらせない。
理解したくない状況に頭がまともに働かない。
それでも、とにかく逃げなきゃという判断だけは出来た。
ゆっくり後退りしてこの場から離れようとする。
けれど、そのわずかなズリッという音に相手は反応してしまう。
ぐりん、と私を見たその目が――血のように赤かった。
その予感に体を強張らせそのまま動けずにいると、耳にじゅるっと何かをすするような音が聞こえてくる。
な、に……?
私は、何を見ているの?
ドクンドクンと、恐怖を覚えたときのように大きく心臓が鳴る。
その鼓動が直接鼓膜を震わせているんじゃないかと思うくらい大きく聞こえると、明るくなってきた半月の光が丁度射し込まれた。
「っっっ⁉」
声にならない悲鳴が上がる。
目の前に見えたものは、赤。
下になっている人の首の辺りから赤い血が流れ、覆いかぶさっている人がその血をすすっているのが見えた。
「ぁ……っ!」
見たくないのに、目がそらせない。
理解したくない状況に頭がまともに働かない。
それでも、とにかく逃げなきゃという判断だけは出来た。
ゆっくり後退りしてこの場から離れようとする。
けれど、そのわずかなズリッという音に相手は反応してしまう。
ぐりん、と私を見たその目が――血のように赤かった。