闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
 なんでこんなに見られるんだろう?

 私変なところでもある?

 寝ぐせはなかったはずだし、食べカスついてるなんてこともないはずだよね?

 家を出る前に再確認したんだから大丈夫なはず、と思っていると、「それで?」と更に聞かれた。


「こんなところで休んでて良いのか? 編入生ならなおさら早く行かなきゃならないんじゃないか?」

「うっ、そうですけど……」


 痛いところを突かれて口ごもる。

 彼の言う通り早く行かなきゃならなくて、早めに家を出た。

 でも予想以上にこの坂道に苦戦してしまって、思った以上に遅くなっている。


「このままだと普通に遅刻するぞ?」

「うっ」


 もはや言葉も出ない私に、彼はテールボックスからもう一つヘルメットを取り出して差し出して来た。


「え?」

「乗れ、送ってやる」

「え? あの……良いんですか?」


 正直助かる。

 この坂道を遅刻しないように上るのはもう無理だもの。
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