それ行け、ぽっくん!!
ライブは端だけど一番前で。

ウキウキしている。

塩野さんは…

冷静だった。



何の為に来たんだろう…?



それはライブが始まってわかった。





健太がオープニングで元気にステージに現れて1曲目。

大声援の中、ふとこちらを見て固まった。

目を点にして、歌ってた。

塩野さんはニヤリ、と笑って手を挙げると、健太は信じられない!という表情でこちらを見つめていた。



オープニングから3曲連続で歌ってMCに入る。

みんなに来てくれたお礼を述べてからこちらを見て

『なんでお前、ここにいんの?』

「保護者として」

健太の問い掛けに塩野さんはそう答えて、ボクの肩を叩いた。

『彼…俺と同じ養成所にいて、トップの成績だったのにこの道に進まなかったんだ。
確か、辞めてなければ郵便屋さん?』

「そうだよ」

どよめきが起こる。

一斉に視線がこちらに向いて…

怖いよ!!!



『そっか、あれからずっと頑張ってたんだね。
じゃあ、今日は最高のステージをお見せします!』

健太はそう言って塩野さんに手を振った。

塩野さんは少し笑って頷く。



ボク、放心状態。

まだライブが始まって3曲だけなのに。

そんな過去が、塩野さんに…



えー!!!!!!



大絶叫したかった…
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