それ行け、ぽっくん!!
「職場のバイトの子。
健太のファンってわかったから今回のチケット、取ってもらったんだよ」

塩野さんはこちらを見た。

「へえ、そうなんだ!
ありがとう、環を連れてきてくれて」

健太はそう言うとボクの手を取って握手してくれた。



…もう、死んでもいい。



「環、電話とか聞いていい?
今度、ゆっくり話がしたい」

目を輝かせて言う健太。

有名になりつつある健太にそこまで言われる塩野さんって一体…?

「環ってね、ホント凄かったのに急に公務員試験受けて受かったんだよ」

健太の言葉にあんぐりと口を開いてしまった。

「…今はただの民間会社のサラリーマンだよ」

苦笑いした塩野さんは健太にそう言った。

「そうだよねー。
…親の反対でこの世界を辞める時にホント悔しそうだったから、心配してたんだよ?」

「ま、仕方ないよ」

「でも、元気そうで良かったよ」

本当に、うれしそうに健太は笑う。
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