それ行け、ぽっくん!!
「んー、そうかなぁ。
ボク、ゆっくりだし…」

缶コーヒーをおごってもらってタブを開けた。

「大丈夫だよ」

塩野さんは微笑んだ。

「職歴をつけた方がいいよ。
今なら正社員になれるチャンスがあるから頑張れ。
…それとも、ぽっくんは何かやりたい事があるの?」

そう言われると一番困る。

「…ない。
何していいのか、わかんないから」

ボクは俯いた。

毎日、こうやってバイトしてるけど、ただその日を過ごしているだけで、何も成長していない自分がいる。

「…ま、もし。
働く所で困る事があれば、いつでも言って。
役に立てるかもしれないから」

ボクは顔を上げた。

塩野さんは、真剣な眼差しでボクを見つめていた。

「えっ…?」

「ま、オレが春から継ぐ家業は手広くしているからさ。
合う仕事もあるかもしれないよ」



…塩野さん、本当に何者なんだろ。
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