初恋の記憶〜専務、そろそろその溺愛をやめてくださいっ!〜
「俺はこれからじいちゃんの会社を継ぐ為に色々頑張らないといけないこともあるし、それに今からみなみちゃんを縛ってしまうのも違うから。大人になったみなみちゃんが自らの意思で俺を選んでくれる日を待ちたいんだ」
「じゃあ、わたしもっ!あのハンカチ、かがみさんが持っていて?わたしのことを、忘れないように…」
「わかった」
ポーン…ポーン…と18時の時報が鳴った。
帰らなくちゃいけないのに足が地面に縫い付けられたかのようにピクリとも動かない。
「みなみちゃん。帰らないと」
「…うん。でもっ、」
でもっ!!
「このままみなみちゃんが帰らないでいたら俺、誘拐犯にされちゃうよ?」
「っ!帰ります!!」
それは絶対にダメだと猛ダッシュで家路に着いた。
家に帰ったとたんに鬼の形相の紗枝叔母さんにこってり叱られてヘロヘロになりながら自室に入り、そこで初めて手のひらに握った物を確認したーーー。