初恋の記憶〜専務、そろそろその溺愛をやめてくださいっ!〜
「噂には聞いていたけれど、まさかこれほどまでのイケメンとはぁ〜」
「眼福!尊い!推せる〜!」
「ちょっと、あんた達っ」
「ご友人方、井上くんをお借りします。井上くん、行こうか」
言うなり専務は助手席側に移動してドアを開けて、わたしに乗るようにエスコートしてくれた。
わたしがサッと乗るとドアが静かに閉められ、専務は素早く運転席へ。
その一連の動作があまりにスマートで周りにいる人達からは「ほう…」と感嘆の息がもれる。
そして女性たちから鋭い刃のような視線を浴びるわたし。
専務といると大概こうなるので、居心地は悪いながらももう慣れっこだ。
そんな瞬殺されそうな視線から逃れるように車はとても静かに発進した。