初恋の記憶〜専務、そろそろその溺愛をやめてくださいっ!〜

しかも決まって店を貸し切ってだし…。

貸し切りだと確かに今回みたく服装をあまり気にしなくてもいいのかも知れないけど、こうも頻繁に誘われると、もしかして仕事で何か大きな失敗をしてしまったんじゃないかと気が気じゃない。

「どうかしたか?」

すっかり黙り込んでしまったわたしに心配そうに声をかけてくれた。

「…専務。わたし、なにかとてつもない事やらかしましたか?」

「は?」

「だって最近こうやって夕飯に誘われる頻度高くないですか?だから、なんていうかこれは鞭(むち)を打つ前に飴をたっぷり与えているだけっていうか…」

「君はわたしをどういう人間だと思っているんだ…」

「パーフェクトな上司だと思っています」

「上司、か…」

どこまでも真剣なわたしをチラリと見て大きな溜息を吐くと、

「鞭なんて今のところ打つ予定はない。最近の君は仕事もだいぶ覚えてきてわたしもとても助かっているからな」

そう言い切った。

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