初恋の記憶〜専務、そろそろその溺愛をやめてくださいっ!〜
5.
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『…み、』
『…みなみ…』
…誰かがわたしを呼んでいる。
『みなみ』
誰…?
どこかで聞いたことのある心地いいテノール。
『みなみ…、愛している』
ふわりと抱きしめられる感覚と優しい温もり。
この温もりをずっと感じていたい。
ああ、わたしきっとこの人の事、好きだ。
「…、わたしも、」
わたしもだよ。
「わたしも、あいし…て…る、」
「ほう」
「っ!?」
脳内に優しく響いていた声がいきなり近くでハッキリと聞こえて、閉じていた双眸(そうぼう)を反射的にバッと見開くと、飛び込んできたのは、
「君から愛の告白を受けるとは光栄だな」
互いの鼻先がくっついてしまいそうなほど近くにある、専務のお顔っ!!
「せっ…!!わたしっ!?」
一気に頭が混乱して悲鳴すら上げられなかった。
取り敢えずフカフカのベッドからバッと上半身を起こし、恐る恐る衣服を着けているか確認した。