初恋の記憶〜専務、そろそろその溺愛をやめてくださいっ!〜
「みなみはモテるから、みなみに近寄ろうとする男どもを片っ端から蹴散らすのも大変だった。だから就職先は俺の会社で、しかも俺専属の秘書にして俺の傍から離れないようにしてた」
「それ、もう犯罪の域なんじゃ…」
ガックリと肩をおろす。
「俺の妻になる女を囲い込んで何が悪い?」
いつもの自信満々の表情に戻った専務はニヤリと笑った。
「…専務には敵(かな)いませんね」
わたしも何だか色々と吹っ切れてハハッと笑った。
「みなみの笑顔、やっと見れた」
「っ、」
心から愛しい者を見る眼でわたしを見詰めるものだから、鎮まった心臓がまた煩(うるさ)くなる。
堪らず俯くと、すぐに暗くなる視界。…抱きしめられたようだ。
「みなみ…」
「…ずっと、待っていてくれたんですか?」
「ああ」
「あの時わたしはまだ小学生だったのに?」
「ああ」
「とんだロリコンですね」
「うっ…」
「年齢差は縮まりませんよ?」
「ミナミハモウオトナダカラダイジョウブ」
急にカタコトになった専務が可笑しくてクスクス笑っていると、わたしからスッと離れた専務がわたしの左手を引き、そのままいつの間に出したのかキラキラした婚約指輪を薬指に付けてくれた。
…サイズがピッタリだったのは聞かないでおこう。
そして、