100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる
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この薄暗い宮殿での年月はどれだけ過ぎたかわからない。
最初の頃よりは明るさを増やして貰ったが、それに自分が慣れてしまってそれ以上明るいことにこだわらなくなった。
「ティアナ様」
目を覚ますと、にっこりと黒目の執事が私を覗き込む。
「おはようございます。まずは顔を洗いましょう。
その後はお好きな紅茶をご用意していますので」
「未だに妙な感覚ね」
お湯を用意しながら執事服を着たハーディスが微笑む。
あの後、何故かハデスはハーディスと気分で交代するようになった。
どうやら私の身の回りのことを他の者にさせたくない、というので二人の意見が一致したらしい。
もちろん毎回という訳でもない。
ハデスと寝所は一緒なのだ、ハデスと一緒に寝て、目覚めるときもある。
今日はどうやらハーディスの日らしい。
どうやって決めているかは謎だが、ジャンケンでもしているのだろうか。
目覚めの紅茶を飲みながら、甲斐甲斐しく私の髪を整えるハーディスに視線を向ければにこりと笑みを浮かべた。
「男二人を手玉に取っているだけですよ、お気になさらず」
「勝手に心を読むの止めて」
「わかりやすいだけですよ」
紅茶のカップを置いた途端、後ろから抱きしめられる。
この腕の大きさ、あたる胸の硬さから誰かわかる。