100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる
「お誕生日おめでとうごさいます、ティアナ嬢。
パーティーに間に合わず申し訳ございません」
真剣な瞳で見上げる彼の表情にキュンとする。
真面目な男性のはにかんだ笑顔は反則だ。
「さぁ二人とも揃ったね。まずは部屋に行こう。
ティアナもほとんど食べていないから空腹だろう」
父の言葉に隣にいる母が笑う。
「私は先に行ってますわ。
ハーディス、あとはお願いね」
「かしこまりました」
メイド達と母が先に行き、私もディオンとカールと話しながらゆっくり向かう。
「今日はまた一段と可愛いね。」
「ありがとう。ディオンも着替えてきてくれたのね、そのスーツ似合っているわ」
「今日のために仕立てたんだよ」
無邪気な笑顔に癒やされるようだ。
遠慮してか、少し後ろを歩くカールにも声をかける。
「今日は正装でいらしたんですね。とても格好いいです」
微笑みかけると明らかに戸惑ったような顔をしたが、軽く咳払いしてありがとうございますと目を合わせずに言った。
うわ、遙に年上なのに何だろう、凄く可愛いですこの人。
「私にお言葉は無いのですか?」
笑顔で何故かハーディスが割り込んできた。
「いつもの執事服じゃない」
「実はおろしたてです」
「そう」
胸をはられて言われたけれど、どこも違いがわからない。
横でディオンが身体を丸めて笑うのを堪えているのでムッとして脇腹を突っつけば、堪えていた笑い声が漏れた。
「ふふ、やっぱりディオンは脇腹が弱い」
「もう君は16歳なんだよ、そういうのは僕以外にしちゃ駄目だからね」
「わかってるって」
「お二人は本当に仲がよろしいですね」
カール様の平坦な声に、私は慌ててしまう。
「子供っぽくてごめんなさい」
「いえその、少し羨ましい、と思っただけで」
あー、こういう照れたような言い方良いわ。
隣でもの凄く笑みを浮かべるハーディスは何だか面倒なので無視することにした。