100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる



客間でローテーブルを囲み、両親は二人用の椅子、ディオンとカール様は一人用の椅子にゆったりと座って、軽食をまずは食べつつ談笑となった。
私も一人用の椅子に座っているが、斜め後ろにはいつも通りハーディスが控えている。

「さて、こうやって二人が集まったのは以前から話していたとおり。
ティアナの16歳の誕生日に正式に交際を申し込みたいという二人が揃ったわけだが」

父の言葉に自分の斜め向こうに並んで座っているディオンとカール様の目がこちらにむいて、どういう顔をして良いのかわからない。
なんせ今の私には急な話に思えてしまうから。

「どうした、二人が名乗り出ることはわかっていただろう?」

「その、こう正式にとなるととても恥ずかしく」

何を今更と呆れた顔の父に言われ俯いてしまう。

「嬉しいね。
小さい頃は女の子と思われていたけれど、僕もようやく男として認めてもらえたかな」

「もうディオンったら」

こうやって私を和ませてくれるのはディオンの優しさだ。

「それで、だ。実はもう一人交際を申し込みたいという者がいてだね」

言いにくそうに父が切り出して皆驚いた顔を向ける。

「それは誰ですか?」

カール様が眉間に皺を寄せて言うが、ディオンも初耳だったらしく困惑しているようだし何より私だって驚いている。

「それがまだ言えないんだ」

「どういうことなの?私にも言えないの?」

「本人の希望でね。時が来ればきちんと申し込むと言ってるんだよ」

「ティアナ嬢も知らないのですか?」

カール様の疑問に私は頷く。

「その彼は後からでも自分には勝ち目があると見ているのでしょうか。
そうでなければアイオライト公爵がその彼に肩入れしていると思わざるを得ないのですが」

ディオンが鋭く疑問をぶつけ、父もどう答えるべきか悩んでいるらしい。
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