100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる
第二章 うちの執事がひたすらに胡散臭い件について
お風呂から上がってくると、窓際にある椅子に促され素早く冷たい水の入ったグラスを渡される。
その渡した当人は先ほど爆弾を落としたハーディス。
私はそれを飲みながら、思い切りハーディスを睨む。
「ティアナ様、そのような熱いまなざしを浴び続ければ、私の理性が簡単に崩壊してしまいます」
「とりあえずふざけないでそこ座りなさい」
小さな丸テーブルを挟み、椅子に座ったハーディスは相変わらずの笑顔だ。
胡散臭いことこの上ないが。
「どういうことなの?」
「先ほどお話ししたとおりですが」
「私は今日目を覚ましてから色々な事に混乱しているけれど、ハーディスがそれに拍車をかけているのだと自覚している?」
「ティアナ様が落ち着いてから話そうと思っていたのですが、今すぐにでも聞きたいとのご要望でしたので」
「なんでそういう時だけ素直なのよ」
にこにこと返事をするハーディスからはきな臭さだけが漂う。
この男はそもそも私が今まで100回生贄として転生していたのを見ていて、今回は助けるためにいるらしい。
それを聞いてハーディスも101回転生しているのか確認するのを忘れていた。
「ハーディス、貴方は私と同じ回数を転生してもしかして同じようにあの白い世界の不審者に願いを叶えて貰ったの?
だから王子なのに執事をやれるとか無理が出来るのかしら」
真っ直ぐにハーディスの黒目を見据える。
だがハーディスは口元を軽く緩ませ、余裕綽々という態度。
それが異様にむかつかせる。
「まずは私はそもそも転生してここにいる訳ではありません」
転生していないでここにいる?
それ以外に私のことを知れてこの世界へ一緒に来られる方法などあるのだろうか。
「方法というか理由はお話しすることは出来ません」
「それは何故?」
「まだその時では無いからです」
私があからさまに嫌そうな顔をすると、可愛いお顔をそのようにしてとハーディスが窘める。
誰がそうさせているのよ、誰が。