100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる

「君が殺されたのは全て世界を調和させる為だ。
それも君は過去から100回という訳じゃ無い。
世界というのはいくつもあって、君は色々な世界に転生している。

先ほど言ったように各々の世界で人々はその世界から消されないために生存本能としてなのか生贄を世界に差し出し、歪みをただす。
その為にはそれが調和できるほど能力の高い者が必要。

で、君に白羽の矢が立った。
おかげで今、色々な世界はかつてないほど落ち着いて動いている。
これは君の為したことだよ」

「ちょーっと待った!」

「質問する場合は挙手をお願いします」

「そもそも手が無いのよ!」

「あ、そっか」

メンゴメンゴと笑い声がして、本当に苛立つ。
殴りたいのに殴れない、もの凄いストレスだ。

「さっき言ってた内容を聞くと、私は世界を守るための能力が高いから生贄にされたと言うこと?」

「そうそう」

「で、誰が私に白羽の矢を立てたの」

シン、と空気が無くなったのかと思うほど静かになった。
空気が在るのか知らんけど。

「あー、それはぁ」

焦っている声。
おそらく言ってはいけないことを、口を滑らせてしまったのだろう。

だが見知らぬ誰かに勝手に選ばれて100回殺され、それで世界が幸せになった、良かったですね、なんて思えるわけが無い。

私はその時々に苦しみ、悲しみ、痛みを味わってきた。
まともな親も、優しい兄弟も覚えが無い。
どれもこれも辛く悲しかった。

そして殺される直前に毎回思う。
あぁまた私は16歳になれなかったのだ、そしてただ殺されるのだと思いながら。

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