100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる
屋敷に着き馬車を降りると既にハーディスが待っていて側に来た。
「ありがとうございます、ディオン様」
そう言って頭を下げたハーディスにディオンは、
「連絡をくれてありがとう。
君が三人目という知らせを聞いたときは驚いたけれど、自分はいつもティアナの側にいるから余裕なのかな」
にこりと笑っているのに目は笑っていない、攻撃的にも見える見たことの無いディオンに驚く。
「今回のことは私の身勝手でお知らせするのが遅れた事へ少しですが謝罪だと思って頂ければ」
「アイオライト公爵がティアナの相手に君を認めている。
君は本当にただの執事なの?」
ディオンは攻撃の手を緩めないかのようにその場に立ちながら追求している。
ハーディスは一切笑みを浮かべずに、真正面から受けているようだった。
「私の出生は少々複雑でして詳しくはご容赦下さい」
また頭を下げるハーディスにディオンはため息をつく。
「ティアナは納得してるの?」
話題が振られて言葉に詰まった。
なにせ正面からぶつかってくるディオンとカールの方が良いと言い切っていたし、そもそもまだ何とも言えない状態だ。
「納得も何もまだ実感すら湧かないわ。
ハーディスはずっと執事として側にいたから」
「そうだね。
でも僕は、ハーディスがただ令嬢に仕えるという視線で見ていたとは昔から思っていなかったよ」
え、と驚くとハーディスは悪びれること無く、
「ディオン様に負けないくらいティアナ様の幼少期から恋い焦がれておりましたので。
さすが恋敵、おわかりでしたか」
「よく牽制されていたからね。
わからない方がどうかしてる」
「わかっておられない方が若干一名いらっしゃいますが」
「ティアナは無理だよ。そういうことに人一倍鈍感なんだから」
その通りですとハーディスが深く頷いて、何故か最後私の悪口で二人は戦友のような顔をした。