100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる

「あの、ここに君を呼んだ本来の目的をだね」

「その前に首謀者を吐け」

「首謀者という言い方は・・・・・・。
とにかく本題!今回100回生贄を為したから、君には褒美が贈られるんだよ」

「褒美?」

怪訝そうな私の声に、そうなんだよ!凄いんだよ!と声が被さる。
どうやら首謀者を聞き出すことから話を逸らしたいらしい。
とりあえず聞いてみるか、その褒美とやらを。

「100回殺されれば、101回目の転生では君の望み通りの世界に転生させることになってるんだ」

「ほぉ、そして101回目の生贄になると」

「違う違う!
もう生贄としての君の役目は終わったんだ。
君は世界を調和させた尊い存在として今後好きに生きられる。
今度は16歳だけじゃない、もっと長く天寿を全うできるんだ。

それでまずは君の望みを聞こうと思ってね。
性別は女の子がデフォルトだから変更不可だけど、君は何にでもなれる。
金持ちでも、素敵な男を寄せ付ける妖艶な女にも、それこそ君の世界を統べる者になることだって可能だ!」

素晴らしいだろう!と言わんばかりの声が白い世界に響く。
そんな美味しい話、素直に受け取れるわけが無い。
こちらは100回殺されているのだから。

「で、本当の目的は何?」

冷ややかな声に、また白い世界がたじろいでいる。
なんでそんなにたじろぐのかわからない。
やはり何か後ろめたいからたじろぐんだろう、そうだろう、そうに違いない。

「君は本当にわかっていないだろうけど、100回もいわば世界を救ったようなものなんだ。
生贄なんかじゃない、救世主さ。
それだけの力を持つから、今度の転生は君の望む世界を手に入れられる」

「それ、単に私の実力なだけで褒美でも何でも無いんじゃ」

沈黙。
そうか、上手く誘導したつもりだろうが再度ボロを出したな、不審者よ。
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