100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる
「皆さん!!
私は治癒魔法が使えます!
ですが私一人だけで多くは救えません!
どうか皆さんも祈って下さい!
目を瞑り、一心にその人が助かることだけを!」
一斉に人々が私を見る。
だが突然現れた見知らぬ娘の意味不明な言葉に困惑しているのが伝わってきた。
もう一度言おうと思ったとき、
「この方はあのカール様のお連れした方!
今信じるのはどちらだ?!
私はこの方を信じる!仲間を助けたい!」
そういうと私の前に膝を突いて頭を下げた。
それを見ていた村人は困惑していたようだが、一人二人としゃがんでいくのを見て、ヒステリックに老人が大声で罵倒し始めた。
まだ周囲を見て戸惑う人々に私は畳みかける。
「カール様の魔法も無限ではありません!
まだあそこにいる人々を助けるためにも力を貸して下さい!」
この言葉は強かった。
みな、向こうの緑の魔法を見てから意を決したような顔でしゃがんでいく。
ただ一人、立ったまま私を罵倒する老人だけを除いて。
私は手を掲げ、一気に魔法を展開した。
広く、広く。
カール様のいる場所まで届くようにと青のベールを広げるイメージを強く持つ。
強い魔法使いを関知しカール様のところまでたどり着いたことがわかる。
そこから傷ついている人々を治癒していく。
私には死んでしまった人は関知出来ないし蘇らせる力は無い。
出来るなら誰も死んでいないことをただ一身に願っていた。