100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる
「カール様が以前から忠告されていたように、同じ場所をどんどんそのようにしていけば今後も同じような事が起きてしまいます。
それを防ぐには伐採する量を管理すること、場所を一カ所にしないこと、そしてまた新たな木を育てるために植栽をすることが必要です。
木で生かされるのなら、未来も考えなくてはいけません。
子供達が土砂崩れで犠牲にならず、まだ木によって生活していけるように」
目を丸くしてこちらを見ている村人達に気付き、自分でかなり熱く語ってしまったことに恥ずかしさが襲ってきた。
思わず手が震えそうになったその手を大きな手が優しく包む。
顔を上げると、カール様が優しい瞳で私を見ていた。
「ここの村だけで全てをやろうと思わなくていい。
植栽やそういう事に詳しい者達はいる。
皆にはこの事を教訓として危険性を皆に教えて欲しい。
私達も出来るだけ力になることを約束する」
カール様の力強い言葉に、村人達の表情が一気に安心した表情になった。
原因だけ並べても不安になるだけだ。
実際どう動いてくれるか、力ある貴族が、それも信頼されているカール様だからこそ為し得られること。
「ありがとうございます」
心からカール様に言えば彼は苦笑いを浮かべた。
「俺はティアナ嬢の言葉に続かせて貰っただけです。
本来ティアナ嬢が言うべきことも俺が言わなければならなかった。
こちらこそ感謝する」
老人の枯れたような声が遠ざかっていく。
村人達がどこかに連れて行っているのだろう。
村人は救えた。
だけど気持ちが何か晴れないまま私達は村を後にした。