100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる
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「お目覚めの時間ですよ、ティアナ様」
何度か自分を呼ぶ声に気付いて目を開ける。
真上に見えるのは天蓋のついた大きなベッド。
頭の下には柔らかな白い枕。
羊毛の布団はさらっとしていて気持ちが良い。
その気持ちの良さにもう一眠りしそうになったのを、男の声で再度目覚めさせられた。
そこには少し長い黒髪、白い肌の男が、目を細めて私を覗き込んでいた。
「ハーディス」
「ティアナ様、16歳のお誕生日、誠におめでとうございます。
お嬢様に最初にお祝いを述べられ望外の喜びです」
気がつけば寝たままの私の手を取り、その甲にキスをして美しい笑みを向けた。
ハーディス・ヘマタイト。
この艶やかな黒髪に黒目、容貌が整った男は私の専属執事だ。
その実、胡散臭い笑みを浮かべ、我が家に群がる邪魔者を裏で排除してきた男。
幼い頃からいたはずだが、未だに何ともよくわからない部分が多い。
段々目が覚めてくると供にこの世界の色々な事を思い出してきた。
先ほどのは夢のようで夢では無い。
あの白い世界で願った101回目の転生、ようやく念願の16歳の誕生日を迎えたのだ。
その事に気付いて涙が出そうになった。
「思い出されましたか、ティアナ様の今までを」
突然の言葉に私は勢いよく起き上がる。
すると身体を冷やさないためかすぐさまハーディスは肩にショールを掛けてくれた。
そんな彼を私は強ばった顔で見上げる。
今何と言ったのだろう、ハーディスは。
「私は貴方の101回目の転生を無事過ごすために使わされた者です。
やっと本来の貴女にお会いできた。
今まで遠くからただ見ていただけの貴女にこうやって触ることが出来るなんて、夢のようです」
なでなでと手をさすられ、ぞわりとして勢いよく手を引っ込める。
ハーディスはうっとりと触った自分の手を頬にあてている。
正直キモい。
だがスタートから何だかこの世界って違わないだろうか、願ったことと。
そもそもこんな変態執事、呼んだ覚えは無いのだけれど。