100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる
「そんな女性に男性は純粋な愛で交際を申し込むことは無いのでは、という噂もあるのですのよ。
ようはティアナ様の評判と同じレベルであのお二方が言われているという訳です。
例えばお金でそう言うように演じるよう仕向けられている、とか」
彼女は気遣うような顔をしていて楽しんでいるように見える。
しかし言われたことに驚いた。
私が噂されているのは知っていたが、まさかそれでディオンとカール様まで嫌な噂をされているだなんて。
「大丈夫ですよティアナ様。あのお二人ならそんな下世話な噂など気にも致しません。
あれだけの愛を伝えられておきながら、お二人を信用しないのはそれこそ罪でございますよ」
突然後ろからハーディスが割り込んできて驚く。
確かに信用していない訳では無いけれど、こういう時に彼らが動じないというのも信用すべきなのだと気付かされた。
「そちらの執事はとても有能だそうですね。
色々な所から引き抜きたいと声をかけるのにご本人が応じられないとか。
そんなにアイオライト家はよろしいのかしら」
エリス嬢はハーディスを褒めているようで嫌みを感じてしまう。
だがハーディスは何も気にせず、
「えぇ最高でございます。
私はティアナ様に使えていることに誇りを持っておりますので。
給金が無くなろうが、アイオライト家が没落しようが関係ありません。
ただティアナ様がいれば私はそれで十分なのです」
胸に手を当てハーディスはエリス嬢に頭を下げる。
エリス嬢は苛立つかと思いきや、面白そうに見ているようだった。
「そんなにご主人様に忠義なんて。
ティアナ様は殿方を転がすのがとてもお上手な様子。
是非私にも教えて頂きたいわ」
馬鹿にされているのがわかっているが、私がここで腹を立ててはアイオライト家の、そして私にあそこまで言ってくれたハーディスに申し訳ない。