100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる
ベッドに横たわり二人向かい合いながら、ハデスは話を始めた。
死者をここで迎えながら、何か大きな任を背負わす者などを選び、特にそういう者は転生先を覗いたりしていたらしい。
そこで私は一度目の死で世界の歪みを直す生贄の適正者として選ばれた。
本来50回で終えその後消える定めだったのを、ハデスが私を気に入り、無理矢理倍の100回にする変わりに妻に欲しいと周囲の反対を押し切って決めたらしい。
なお私はそんなこと知るよしも無く、無残に16歳の誕生日を迎えること無く100回殺された。
そしてその後こちらに来るのだから一回くらい好きにさせようと101回目のボーナス転生が決めたそうだが、結婚前に一人で自由に旅行するようなノリで決められていたのはなんなのだろう。
「ハーディスは最初会った時に私に101回目の転生を過ごすためにいるって言っていたけど」
「あれもそもそも死者で転生させるときに約束をした。
お前を守るという点では一致していたからな。
私が中で覗くことも承知していた」
「もしかしてハーディスとは」
ハーディスが異様に私に執着していた理由ってもしかして。
だがハデスは眉間に皺を寄せ、言わん、と不機嫌そうに顔を背けた。
思わずムッとして鼻を摘まむと、驚いたように目を丸くしている。
「ハーディスとは100回の中で私と何か深い縁があったんでしょ」
睨めば、ハデスは私の手をゆっくりと外し大きなため息をついた。
「何度かお前の恋人、婚約者、夫だったこともあった。
何度も同じに生まれ変わるので、最後はお前の側で素直に気持ちを打ち明けられるようにしてやった。
もちろん本人は納得している」
自分は以前の転生で関係無いと言ってたのは嘘だったのか。
だがそんなハーディスを最後にあんな顔をさせてしまった。