100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる


「エリス様」

エリス様が眉を寄せて私に視線を向ける。

「何よ」

「あの襲撃をわかっていましたね?それも私が庇うことも」

「そうよ。貴女は生贄の適正者。
あの時は私のために死ぬ、そういうルートは簡単に出来るの。
あの村の土砂崩れだって、そもそも城での襲撃も貴女が身代わりとなって死に、他の者が生きるルートがあった。
それは全てハデスが動かすハーディスに邪魔されたけれど、今回ばかりは傀儡のハーディスでは私の力に及ばなかったみたい」

頭がフル回転している。
そう、101回目の転生でも私は生贄として死にやすいのをハーディスが守っていたのか。
それをエリスが邪魔をした。
ずっと守ってきてくれたハーディスは、あの世界を消すほどの絶望を味わったのだろうか。

「ハーディスは所詮ハデスの傀儡。そう気にしなくて良いでしょうに」

「うるさい!!」

私の声が暗い世界に響き渡り、今まで饒舌に話していたエリスの表情が止まる。

「傀儡ですって?!
ハーディスはそもそも胡散臭くて異様な愛をぶつけてきたけれど、彼は彼なのよ!
両親も、ディオンとカール様達だってあの世界で彼らの人生があったの。
神ならなんでも玩具にしていいとでも思ってるの?!
そんな神は消えてしまえ!!」

喉が痛くなるほどに叫んだ。
冗談じゃ無い、お前達神の玩具じゃないんだ、私達は。
そんな存在、認められるわけが無い!!

「お前はそういう事が嫌なのだな。
我にはまだわからないが神とはそういうものだ。
だがいらぬと言うのなら」

ハデスが私を見た後に、エリスの方を向けばエリスは顔を強ばらせる。

「い、いやね、ハデスは同じ仲間なんだから。
私達の感覚はわかるでしょう?」

「あの世界を戻しておけ」

「急に言われても」

「そうしなければお前は」

「わかった!わかったから!
けど消えた世界を戻すって面倒なんだから時間はかかるわよ」

「すぐに、短期間でやれ。それまで陽の光は浴びさせん。
連れて行け」

えー!と文句を叫ぶエリスは、紐を引っ張られて寝所から出て行った。
まだ向こうから訳のわからない声がする。

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