海とキミのオムライス
それでも、愛想よく売り子を手伝ってくれて、ほとんどの物を付けた値で上手に売っていた。
小さい子連れが通りかかれば、あやすように声をかけて、楽しそうに話をしている。
私は会計をしながら、お客さんと明るく話す風太の横顔を眺めていた。
穏やかな休みの昼間だった。
長いこと、こんな時間を持つことを忘れていた気がする。

(いつも、瀬良くんの顔色ばっか伺ってたんだな。私)

そんな瀬良くんの好みのものは一つ、一つ、新しい持ち主に引き取られていく。
売り切れなかったものは値下げして処分し、それでも残ったものはゴミに出すことにする。

売れたお金は最初から、どんなに少額だったとしても寄付にしようと考えていた。
大学で社会福祉を専攻している風太に相談して、国際的に恵まれない子どもたちのために活動している団体に全額寄付をした。
しかし、フリマの当日に風太が売上から少し借りてくねと持っていき、ソフトクリームになったので、きっとマグカップのセット分は二人のお腹に入っている。
冬空の下、冷たい冷たいと二人で笑いながら食べた。
そして、夕食は風太とファミレスに行った。
「スッキリした顔してるね」
「そうかな」
「そうだよ」
ドリアを食べながら、思う。
ファミレスのごはんってこんなに美味しかったんだと。
その後ドリンクバーで2時間粘り、とりとめのない話をした。
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