海とキミのオムライス
その次の週末はベッドを粗大ごみに出した。
さすがにベッドを捨てるのは躊躇したけど、風太が手伝ってくれると言うので思い切って買い替えることにした。
今まで手をのばすのをためらっていた、少し可愛いデザインの白いシングルベッドを買った。
ワンルームの部屋に白い木製ベッドが仲間入りした初めての夜、しみじみと好きなものに囲まれる幸せを味わっていた。
一人暮らしを始めた時は既に瀬良くんと付き合っていたため、家具のチョイスは瀬良くん任せだった。
それを疑問にも思わなかった。
彼の好みを知れだけで、あの頃は幸せだった。
それを否定するつもりも、無理に忘れようとするつもりもない。
大事な5年間だったから。
ただ、今思う。誰の好みでもない、ここは、自分だけの居場所だと。
ああ、ここに私の居場所があったんだ、と思ったら、「空っぽ」だった自分が少し満たされた気がした。
もう一回歩き出そう、歩き出せる、そんな気持ちが湧いてきた。
日曜日には風太がよく声をかけてくれることもあって、一緒に遊んだ。
異性の友だちというのが初めてで、勝手がわからなくて最初は戸惑った。
けれど、そんなためらいを吹き飛ばすようにあちこちへ連れ回されるため、私の世界はイヤでも広がった。
「私」が新しく形作られて行くのがわかった。
それに、「葵さん、葵さん」と風太に呼ばれるのは、懐かれている気がして気分が良かった。
さすがにベッドを捨てるのは躊躇したけど、風太が手伝ってくれると言うので思い切って買い替えることにした。
今まで手をのばすのをためらっていた、少し可愛いデザインの白いシングルベッドを買った。
ワンルームの部屋に白い木製ベッドが仲間入りした初めての夜、しみじみと好きなものに囲まれる幸せを味わっていた。
一人暮らしを始めた時は既に瀬良くんと付き合っていたため、家具のチョイスは瀬良くん任せだった。
それを疑問にも思わなかった。
彼の好みを知れだけで、あの頃は幸せだった。
それを否定するつもりも、無理に忘れようとするつもりもない。
大事な5年間だったから。
ただ、今思う。誰の好みでもない、ここは、自分だけの居場所だと。
ああ、ここに私の居場所があったんだ、と思ったら、「空っぽ」だった自分が少し満たされた気がした。
もう一回歩き出そう、歩き出せる、そんな気持ちが湧いてきた。
日曜日には風太がよく声をかけてくれることもあって、一緒に遊んだ。
異性の友だちというのが初めてで、勝手がわからなくて最初は戸惑った。
けれど、そんなためらいを吹き飛ばすようにあちこちへ連れ回されるため、私の世界はイヤでも広がった。
「私」が新しく形作られて行くのがわかった。
それに、「葵さん、葵さん」と風太に呼ばれるのは、懐かれている気がして気分が良かった。