海とキミのオムライス
日曜日、待ち合わせ場所に少し遅れてやってきた風太は息をきらせていた。
「ごめん、葵さん。途中で友達に会ってつかまっちゃって……」
ひどくすまなさそうにしている風太に気にしないで、と言うと、「ありがとう」と肩で息をしながら満面の笑みを向けられた。
「あのね、ちょっと相談があるんだけど」
風太の袖を引っ張りながらそう言うと、風太はマジメな顔つきになった。
袖をつまんだ私の手をそっとはずしながら言う。
その手付きが優しくて、拒否されているわけではないようでホッとした。
「何?何でも頼ってよ」
頼られることが嬉しそうな、誇らしそうな声音だった。
映画に行く予定を変更して、近くのカフェには入ることにする。
私は昨日の動揺を見せないように、何てことないように、スマホの画面を見せる。
「これが…昨日きて…」
私どうすればいいかわからなくて…と続けようとしたのと同時に風太は目を見開いた。そしてマジメな顔は変わらず、ただ無表情になり口を開いた。
「どうしてオレにきくの?」
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