海とキミのオムライス
身なりを整えて1階へ降りていくと、健吾さんと風太が店の中央の席で待っていた。
テーブルの上にはオムライスが一つ。
きれいにテーブルセッティングされた上に置かれていた。
主賓の到着を待ちかねるように湯気を上げている。
少し早い昼食時間にも関わらず、お腹が期待感でいっぱいになる。
「どーぞ、あおいちゃん」
と健吾さんにうながされて、健吾さんの向かい、風太の隣の席についた。
「じゃあ、改めまして。俺は、晴屋健吾(はれやけんご)、この店のマスターです。あ、晴屋だから、店の名前がハレルヤね。こっちはおいの・・・・・・」
風太が言葉を引き継ぐ。
「一木風太(いちきふうた)。ハタチ。ここのオムライス絶品だから、驚くなよ。」
そう言ってニカっと笑うと、八重歯が見えた。
「お風呂と、服ありがとうございます。小宮葵、24歳です」
「じゃあ、自己紹介も終わったところで。葵ちゃん、召し上がれ」
「あ、はい。ありがとうございます。」
おそらく、お風呂の間に昼食は食べたのだろう二人は、それぞれの飲み物を飲みだした。
健吾さんはコーヒー。風太はクリームソーダ。
うんうまい、そんな風太のつぶやきを聞きながら、目の前にあるオムライスにスプーンを入れる。
ほかほかのケチャップライスに、ふわふわ卵がのっている。
おそらく葵のためだろう、リボンがケチャップで描かれていた。
一口食べる。
「美味しい・・・・・・」
「だろ?だろ?」
隣の風太が得意顔になって振り向くと、クリームをのせた長いスプーンを取り落とした。
「うわっ、葵さん、泣いてんの?」
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