彩りの日々
一度触れて離れるまでの時間がとても長く感じたけれど、それはきっと一瞬のことだった。
しょうちゃんの切なげな瞳が私を見つめている。


「……俺だって男だよ」


寂しそうなその顔が、昔の可愛い素直で甘えん坊だった頃のしょうちゃんを思い出させたが、今のこれはその頃のしょうちゃんの弟像とは遠くかけ離れていて、私の頭を混乱させる。

また数度優しく唇を啄まれて、あまりの甘さにそのまま体から力が抜けてしまう。

その心地よさに流されてしまいそうになるったけど、頭の中に残った理性は今もずっと警鐘を鳴らしていた。

「ダメ、……」

ぐいと力の入らない腕で私はしょうちゃんの体を押し返す。


いつの間に逞しくなった体。

ずっと弟のように、子供の頃から変わっていないと思い込んでいたのに、確かに大人に近付いている青年なのだと、私はこの時初めてしょうちゃんのことを意識した。
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