彩りの日々
「だから今こんな風にノコノコ一人で男の家来てるのは、誘ってるんだって意味にとるよ。俺はみちのこと好きだから」

「……え、あ、……」

「触ってキスして、エロいことするけど、いいの?」

「だ、ダメだよ!!」

さすがにそれは大人としての倫理観が許されない。

「ダメなら少しは警戒しろよ。俺のこと弟扱いばっかじゃなくてさ」

警戒しろと言われても私は困ってしまう。

確かにこの間のしょうちゃんは知らない男の人みたいで少し怖かったけれど。

私はかずくんが好きだし、しょうちゃんも弟みたいだと思っていたわけで。

けれどしょうちゃんが私を好きだと言うなら、これ以上ずけずけと彼の気持ちを踏みにじるようなこともしたくはない。

「……ごめんな」

また、どこか苦しそうにしょうちゃんは呟く。

「みちが兄貴のこと好きなのはわかってるし。別にそれでいいって俺も思ってたけど。……みちに触れる距離にいるのに俺の事警戒されないのはなんかすげー悔しいし、みちのこと好きだからしんどい」

また、知らない顔だ。と、私はどぎまぎしてしまうけれど、どうしても真剣なしょうちゃんから目が離せなかった。


「ちゃんと見てほしい、俺の事。弟じゃないってわかってほしい」


ギュッとしょうちゃんが私の手を握る。
大きな手。
少し骨ばった長い指は、私とは違う男性のそれだ。
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