彩りの日々
でもあまりにも距離が近すぎて、自分が男としてこれっぽっちも意識されてないってことが嫌でもわかってしまって、そういう意味ではめちゃくちゃキツかった。

「い、いや、でもまあほら、私なんかの見ても、ね!? もうそんな恥じらうような歳でもないし、……!! それにほら、しょうちゃんとは姉弟みたいなもんだし! 今更恥ずかしがってもさ……!!」

雷雨のあの日。その一言が一番カチンときた。

わかってた。
弟みたいって思われてるなんてずっとわかってたけど。

俺のこと全然警戒しないって、どんだけ舐めてんだって。
ムカついて、強引にキスした。
それは、……悪いことしたな、って今結構後悔してる。
俺の事見てほしいなんて、我儘爆発させてそれこそガキみたいだった。

みちのこと、大事だから。本当ならあんなキスするべきじゃなかった。
みちを困らせることしたくないし、悲しませることもしたくないから、絶対にあんな勝手なことはもうしない。
大事にしたい。

いっそあれで怒って俺のこと突き放してくれたらよかったのに。

お人好しなみちはどこまでもお人好しなのか鈍感なのか、「今日夕飯作りに行くね」なんて、何事もなかったかのように連絡してきやがった。

あんなことされても意識しないのか、ってムカついたけど、俺が開き直って告白したらさすがに本気だってことには気づいたみたい。


好きって伝えたから、少しは意識だけでもしてほしい。
フラれるならフラれるで構わないけど、俺の事ガキだって思って気の迷いだとかそんな言葉でこの気持ちをなかったことにされるのは許せない。


まあ、今更焦る事はないし。

じっくりゆっくりでいい。

何年鈍いみちに片想いしてると思ってんだ。

これでも結構気は長いほう。
今は俺の事意識してくれただけでも大進歩。
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