彩りの日々
好きな奴が弱ってたらつけ込めばいいだなんてみちにも言ったし自分はできると思ってた。
それくらいなりふり構わないと。それくらいみちが好きだから。

でも、違った。

みちが好きだからそんなこと、出来そうにもない。


「泣いてもいいよ。俺、見ないから」

「……やだな、失恋くらいで泣かないよ、……今更だし、……大人だもん」

「大人だって泣いていいじゃん」

「……そうかな?」

「そうだろ」

みちもソファの上で膝を抱えてる。

いつもよりうんと頼りなく見えるその体を抱きしめたいって思ったけど、今それをするのは卑怯だと思ったから、しない。


「ちょっとコンビニ行って来る」

ぽんぽんってみちの頭を優しく撫でた。

俺が昔よく泣いてた時にみちがやってくれたみたいに。
これくらいなら許されたい。

ぐすって、みちが鼻をすする音が聞えたので、俺は振り返らなかった。


みちは俺がいたら泣けないだろうから、少しの時間家を出る。


美味しいプリンを買って帰ろう。
みちが好きな焼きプリン。


そしたらまたのほほんと、いつものムカツク顔で笑っててほしい。

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