彩りの日々
真実は自分の身体に重くのしかかる。


一気に疲労が押し寄せてフラフラとした足取りで自宅のアパートに帰った。


コンクリートの階段を上ると、家のドアの前に蹲る影が。

「……しょうちゃん?」

「おかえり」


正直今は一番会いたくなかった。


回れ右して逃げ出したかったけど、ここは私の家だ。
まさか逃げるわけにもいかない。

「どうしたの?」

動揺を顔にださないように気を付けてなんともない風に尋ねる。

「みちに会いたかったから、来た」

そんな事をサラリと言うしょうちゃんは将来とんでもないたらしになるのではないか。
不覚にも嬉しいなどと思ってしまった自分の感情が顔に出ない様に必死で隠す。

私は大人。

私は大人。

「週末デートしようよ」

「で、デートって……?」

「ダメ?」

「いや、ダメとかじゃなくて……。そもそもしょうちゃんみたいな若い男の子と私みたいなおばさんがデートするのが普通におかしいでしょ」


少し緊張して喉が渇く。

手が震えるけど悟られないように気をつけながら通勤用のハンドバックから家の鍵を取り出した。

「デートなら同級生の女の子としなよ。しょうちゃんならすぐ可愛い彼女できるよ」

それだけ言って私は自分の部屋に逃げ込むつもりだった。

これだけ言えばきっとしょうちゃんも諦めるだろうって。
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